【アメリカのビジネススキル】日本では教わらない3つのこと

ビジネススキル

アメリカと日本ではビジネスの運び方に違いがあると感じたことはないでしょうか?

もちろん、アメリカがすべて優れているわけではありません。

しかし、日本ではビジネスにおいて重要な考え方を教わっていません。

私は中学2年生までアメリカ ニューヨークで過ごし、帰国後に社会人留学もしました。

今回の記事は、特に社会人留学時の経験をもとにご紹介したいと思います。

私が参加した社会人留学時のプログラム概要

私が参加したプログラムは、アメリカのペンシルバニア週で行われた5週間の集中プログラムです。

プラグラムの目的はグローバルリーダーの育成です。

自動車のFordの社長やChryslerの会長を勤めたLee Iacoccaが、もともとは経済のグローバル化を背景に、グローバルリーダーの必要性を訴えて誕生したプログラムです。

毎年夏に開催されており49か国から80名以上が集まり、5週間の共同生活を送りながら、異文化交流、企業CEOの講義やプロジェクトを通じて、国際社会で活躍できる人材に育て上げようと言う内容でした。

日本からは私1人の参加で、事前の2週間のニューヨークの語学学校での肩慣らしと合わせて、約2か月の間の短期留学でした。

日本では教わらないこと3つ

・チームビルディング

・win-winの交渉術

・プレゼンスキル

この記事を読むことで、アメリカのビジネスではどのようなことを教えられるかがわかります。

アメリカと日本の特徴を知ることで、より自分のキャリアを生かすことができます。

チームビルディング

最近はジョブ型の仕事なども注目されて、会社でも専門性の異なる社員を目的に応じて集めるプロジェクト型の働き方も増えてきました。

大きな仕事でなくてもプロジェクトのリーダーを任された経験がある方は多いと思います。

会社のデジタル化に向けて設置されたチームもあれば、職場の環境改善のチームもあると思います。

いきなりチームのリーダーに選ばれた時に何から始めればいいかわからない人も多いと思います。

チームビルディングの必要性

このプログラムの目玉は、実際の企業や団体をコンサルティングするプロジェクトです。

プロジェクトのチームにはすでに世界で活躍するOBがメンターとして入り、助言をくれる仕組みです。

私のチームはギリシャの子供服ブランドの海外進出について、進出する国や業態などの提案をすると言うものでした。

チームメンバーの5人は

ペルー、スペイン、モンテネグロ、ケニヤ、中国から参加していました。

国籍だけでなく年齢、宗教、文化、専門性と全てが違うので、同じ仕事を進めるにはかなりの難しさがあります。

そのためプロジェクトの序盤はいきなり仕事に取り掛かるのではなく、チームビルディングから入ります。

Code of Conduct(行動規範)を決める。

プロジェクトではまず、Code of Conductを決めます。

Code of Conductはチームの行動規範のことです。

内容は企業の行動規範のような難しい内容ではなく、例えば

  • ミーティングの集合時間の5分前には入室し時間になったら会議が始められるようにしておく。
  • 相手の話をしっかりと聞き終わってから、発言する。
  • 相手の文化を尊重する。
  • 会議では自分の意見をはっきり発言する。

などです。

なんか固いな。と思われる方もいるかもしれません。

これが日本であれば、いちいち言わなくても「常識」で済みますが、育った「常識」が異なればもちろん行動はそれぞれ変わってきます。

集合時間に部屋を出る人もいれば、15分前には集合している人(私)もいます。

そのためこのCode of Conductを全員で話し合って決めるプロセスはとても大切です。

ブレインストーミングなどをするのも効果的でした。

プロジェクトを通して、なにかトラブルに発展しそうなときにはこの行動規範に立ち返ります。

言いずらいことや、後々もめそうなことは初めから書き出しておいたほうがいいでしょう。

自己PR

Code of Conductが決まったら、次は自分の専門性について各自が自己紹介します。

ここでいう自己紹介はプライベートな内容ではなく、自分のこれまでの経験やスキルをどのようにプロジェクトに生かせるかのプレゼンです。

例えば私は、経営の大学を出ていて、当時は営業の仕事をしていましたので、マーケティングの手法などを担当が出来ると説明しましたが、メディアマーケティングの仕事をしているペルーからの参加者がいたので譲らざるを得ませんでした。意外と卒業した学部も重要で、大学で経営を勉強していれば経営のプロとみられるため、私は各国の経済分析の担当になってしまいました。

日本の会社では入社した会社の人事異動でいろいろな職種を経験しジェネラリストといてキャリアを進んでいくことがほとんどですが、世界ではジョブ型が主流で、営業は営業、マーケティングはマーケティングなどキャリアがはっきりとしています。

その分、自分の仕事とそうでない仕事がはっきりしていて、自分の領域じゃないことはいっさいやりません。

多少オーバーでも自分がやりたい役割の経験をPRすることが重要です。

このようにしてプロジェクトの役割を決めていきます。

チームワークを鍛える

ある程度役割が決まった後にプログラムでは近所の遊園地に行きました。

なぜ遊園地?と思いますよね。

もちろんただ乗り物に乗るのではありません。

お題を渡されて、トレジャーハントをしたり、チーム戦のゲームも行いました。

例えばランチの前に茹でる前のスパゲッティとセロテープを使って、どのチームが一番高さが高い模型が作れるかなどで競い合い、かなり盛り上がりました。

後で聞きましたが、これはアメリカで行われた実験をもとにできた、有名なグループワークのようです。

実験概要

MBA保有者からなるチームと幼稚園児が、スパゲッティを組み合わせ、模型の一番上にマシュマロを刺し、その高さを競うというゲームです。

実験結果

実験の結果、勝利したのは幼稚園児のチームでした。

MBA保有者のチームは、形式を重視しリーダーを決め、リーダーの指示通りに動いたのに対し、幼稚園児は仲良しグループでみんなで意見を出しながら、組み立てたそうです。

実験からわかること

この実験ではチームワークにおいて、全員が意見を出し合い参加することの重要性が分かります。

チームビルディングの序盤で行うにはもってこいのゲームです。

大切なことはチームで共通の目標に向かって取り組むということです。

結構アメリカではプロジェクトの際のこうしたリクリエーションを通じたチームビルディングは一般的で、企業でもハイキングを取り入れたり、身近なものだとバーベキューをしたりします。

ただ飲み会を開くだけでなく、みんなでなにか協力してできることがいいでしょう。

すごい経歴の人でも、「意外と話してみるとお茶目」など仕事のみでは発見できないところもあり、打ち解けるのには効果的でした。

私が参加したプログラムでは、調達先や販売先がグローバルに多角化するようなプロジェクトの中で、どのように力を発揮するかを重点的に取り上げ学びました。

しかしなにも海外の人と働かなくても、共通して使えるテクニックばかりです。

むしろこのプロセスを飛ばして成り立っている日本のほうが特殊かもしれません。

同じ日本人であってもジェネレーションギャップなどはどんどん広がっています。パワハラ、セクハラなどのハラスメントも結局お互いが不快に思う感覚にずれが生じていることが原因です。

次プロジェクトを仕切ることがあった際は、チームビルディングから始めてみてはいかがでしょうか?

win-winの交渉術

交渉のロールプレイ

私が参加したプログラムでは、国際感覚を養うため、様々な講義が用意されていました。

その一つが(国際交渉術)グローバル・ネゴシエーションでした。

まず、参加者が3〜4人のチームに別れ、アメリカチームと中国チームに分かれます。

お互いのチームが、

  • 自分のチームが達成したい目的リスト
  • 相手チームが達成したい目的リスト

を渡されて、ロールプレイ形式で商談をし、どっちのチームがより目的を達成できるかを競います。

優先順位を決める

商談に入る前に、まず渡された目的リストの中で、

達成したい目標

呑めない要求

を3つずつ決め順番にして点数を決めます。

  • 達成したい目標は1〜3ポイント
  • 呑めない要求は△1〜△3ポイント

という具合です。

交渉において、自分が最も達成したい目標が叶えば、+3ポイント

逆に最も呑めない要求を渡してしまうと、△3ポイントとなります。

相手の優先順位を探る

自分のチームの優先順位を決めた後は、実際に交渉に入ります。

こちらのチームはアメリカという設定でメンバーはケニヤ、クロアチアからの参加者と私でした。

相手チームは中国でメンバーはスペイン、アメリカ、UAEからの参加者でした。

設定としては、アメリカの通信会社が中国に進出する際の国に対する諸条件の交渉で、争点は契約条件や技術提供などでした。

ロールプレイでは挨拶から始まり、会話をしながら、お互いの優先順位を探ります。

意識するべきは、相手の優先順位の高い目的と自分の呑めない要求との差です。

お互いの優先順位を調整する

ロールプレイも終盤を迎えると、いよいよ契約の局面になります。

通常ですと、交渉の際には自分の目標達成を優先しがちですが、このプログラムでは自分の得たいものと相手が得たいものとの調整がポイントになります。

自分が一番欲しい条件を獲得できても、一番飲めない要求を呑んでしまえば、合計はゼロ点です。

そのため、このふたつがバッティングした場合は、2番目の優先順の条件に切り替えて交渉していきます。

このロールプレイで気づかされるのは、いかに通常は相手の要望に耳を傾けていないかです。

取引先との商品の価格交渉、親会社と下請けの納期交渉、上司からの指示など、アメリカなら交渉が発生する場面においても、あまり日本人は交渉しません。

交渉したとしても、自分が商談に臨む際に条件に優先順位をつけたり、相手の優先順位を気にしたりはしていないでしょう。

この場合、立場が弱いほうが、全面的に要求を受け入れることになり、持続的な関係の構築がむつかしくなります。

実際の商談でも

〇〇さんが最も求めている条件は何ですか?

と直球で聞いてみるのもいいでしょう。

どんな相手に対しても、win-winとなるような交渉術を身に付けましょう!

プレゼンスキル

最近はYoutubeなどでアメリカのプレゼンを見ることが多くなりました。

プレゼンを見ると、非常に情熱的で感情に訴えかける内容のものが多いように感じます。

TEDなどでは日本人スピーカーの出演回数は、多くないので比較はできませんが、英語のスピーチはスピーカー自身に集中を引き付けるものが多いです。

私が受けた講義では、そもそも根本的な概念が違うなとも感じました。

アメリカのプレゼンの主役はスピーカー

アメリカのプレゼンと聞いて、想像するのはスティーブ・ジョブスなどではないでしょうか?

このように優れたプレゼンとスピーカーが紐づくのがアメリカのプレゼンです。

私もアメリカでプレゼンを勉強しましたが、口を酸っぱくして言われたのは、

“Presentation is your show!”

「プレゼンはあなたのショーである」

ということでした。

どういうことかというと、基本的にオーディエンスは常に自分に引き付ける構成にし、ほかはすべて自分の言葉の補足とする手法です。

根底にある考えは、「プレゼンの内容の詳細は、オーディエンスにはほとんど伝わらない。であれば印象として強いメッセージを残すべき。」というものです。

一方、日本のプレゼンは資料やスライドに視線を集め、その内容について正しくスピーカーが説明することが多いのではないでしょうか?

日本の会社で、得意先にプレゼンする際によくみられるのが以下の順番です。

最初に最も上席が挨拶をする。

次に、責任者が概要を説明する。

最後に実務担当者が本題の詳細を説明する。

もちろん実務担当者は何度も資料ベースで上席に確認と修正を行っているため、「自分のショーだ!」なんて考えて発表する人はいないでしょう。

あらかじめ上司にフォントのサイズまで確認を取った資料を、いかに台本通り完璧に読むかということに全神経を集中させるはずです。

スライドは補足

スピーカーがメインのプレゼンであれば、もちろんスライドはスピーカーの補足となります。

具体的にどのような補足かというと、写真やグラフでビジュアルを補うことが多いです。

例えば貧困の問題を扱うプレゼンであれば、実際に貧困で苦しんでいる子供の写真のみをスライドで投影したり、貧困世帯の増加率のみの棒グラフを投影するなどです。

もし文字を入れるのであれば、象徴的な言葉のみをビジュアルで格言のように入れることもあります。

もはやスライドの投影は必要なく、言葉のみで相手に伝える技術こそが、高いプレゼンスキルとまで言われていました。

個人的には効果的なビジュアルでの補足は、オーディエンスをより深く引き込むことが出来るので、用いるべきだと感じています。

一方、日本では資料が主役で

主役の資料やスライドには抜け漏れがないかなどの完璧性が求められます。

日本以外ですと、世界的にはドイツ人がこのようなプレゼンをするというステレオタイプがあります。

工業大国として、緻密な性格が共通しているのが分かるので、国別のプレゼンを見るのはとても面白いです。

抜け漏れがないスライドは、自ずと情報量が多くなります。

ロジックを理解するには効果的な側面もありますが、ぱっと見ただけで印象が頭に入ってくるというよりは、読み込んでいくうちに理解できるタイプのものが多いです。

オーディエンスと対話

アメリカのプレゼンは一方通行ではありません。

質問して手を上げさせたり、問いかけをして答えさせたり、なにかとオーディエンスを巻き込みます。

これはプレゼンだけでなく授業などでもよく見られ、先生が話している途中でも、生徒は平気で手を挙げて質問します。

先生も生徒の意見をよく聞きます。

このように文化として、オーディエンスを盛り上げる問いかけをすると、応えてくれるという安心感は正直アメリカのほうがあります。

具体的には、プレゼンの序盤でオーディエンスの共感を得て、興味を引き付ける際に、「この中でもし〇〇に困った経験がある人は手を挙げてください」などはよく使われています。

一方、

日本のプレゼンにおいて、オーディエンスに対して投げかけるスタイルを見ることは、ほとんどありません。というか投げかけはするのですが、あまりにもオーディエンスのリアクションが悪すぎるので、そこから盛り上がる構成をつくれないのです。

おそらく、オーディエンスも「質問されたらどうしよう…」と委縮して、その後のプレゼンはそればかりを考えてしまうでしょう。

日本において取り入れられているのは、「〇〇の経験をしたことがある方は多いのではないでしょうか?」という自問自答までの場合が多いです。

まとめ

日本では教わらないこと3つ

・チームビルディング

・win-winの交渉術

・プレゼンスキル

以上の3点をご紹介させていただきました。

いきなりすべてを日本で実践すると浮いてしまうかもしれません。

しかし、私の感覚でもこの5年ほどで急激に、日本においてもこうしたスキルの重要性が増してきたと思います。

徐々に必要なエッセンスを取り入れていくのがお勧めです。

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