英語を学ぶ中で理解するのが難しいと感じるのは詩です。
有名な詩は、昔描かれたものも多く、日常では使われない言葉も多いです。
これに加えて、比喩などの技法も使用されるので、理解に苦しみます。
ネイティブが詩を詠んでも怪しいでしょう。
アメリカで大変人気な詩人エミリー・ディキンソンの詩も、非常に難解ですが、英語を学ぶ上での教養とも言えますので、代表的な詩をご紹介します。
小・中学校の頃、4年間アメリカのニューヨークで過ごしました。
社会人でも再びニューヨークに留学した経験から、英語の重要性、勉強方法、英語圏の文化などを記事にしています。
英語の詩はとても難解です。
ネイティブが読んでも理解できないものがほとんどなので、簡単な言葉で訳し、背景なども交えて解説したいと思います。
おすすめの英語の詩は、こちらの記事でもご紹介していますので、合わせてご覧ください。
【英語圏の教養】知っておくべき有名な英語の詩【おすすめ10選】
エミリー・ディキンソンってどんな人?
エミリー・ディキンソン(Emily Dickinson)(1830-1886)はアメリカの詩人です。
当時の詩は物語を詠む長編のものが多く、内容も喜劇的なものが一般的でした。
そんな中、エミリー・ディキンソンの詩は短編で、内容も死や感情など人間の内面を表現するものが多く、画期的でした。
また、当時の女性は結婚して子育てをするのが当たり前と考えられていましたが、ディキンソンは生涯独身で自宅の部屋に引きこもり、詩に没頭していました。
生涯で約1800もの作品を世に残しています。
Because I could not stop for Death – 原詩
Because I could not stop for Death – Because I could not stop for Death – He kindly stopped for me – The Carriage held but just Ourselves – And Immortality. We slowly drove – He knew no haste And I had put away My labor and my leisure too, For His Civility – We passed the School, where Children strove At Recess – in the Ring – We passed the Fields of Gazing Grain – We passed the Setting Sun – Or rather – He passed Us – The Dews drew quivering and Chill – For only Gossamer, my Gown – My Tippet – only Tulle – We paused before a House that seemed A Swelling of the Ground – The Roof was scarcely visible – The Cornice – in the Ground – Since then – 'tis Centuries – and yet Feels shorter than the Day I first surmised the Horses' Heads Were toward Eternity –
「私は死のために立ち止まることはできなかったので–」和訳
私は死のために立ち止まることはできなかったので– 彼は親切に私のために立ち寄った 馬車が乗せたのは私たちと 不滅だけだった 私たちはゆっくりと進みました 彼は急ぐことを知りません 私は彼の親切さに 仕事だけでなく余暇さえも 捨ててしまいました。 私たちは学校で子供たちが 昼休みに輪になって遊んでいる横を通り過ぎ 小麦畑も通り過ぎ 夕日をも通り過ぎました。 むしろ、追い越されたのは私たち 露が下りてきて肌寒さに震え 薄手のガウン チュールのティペット 私たちは家と思われるところで止まった 地面の盛り上がり 屋根はほとんど見えない 壁の淵はほとんど埋まっていた あれから何百年もが過ぎたが あの日より短く感じる 私が永遠に向けて初めて 馬で駆けだしたあの日より
解説
私は死のために立ち止まることはできなかったので–
彼は親切に私のために立ち寄った
馬車が乗せたのは私たちと
不滅だけだった
詩の最初は、「私」が生きることに忙しく
あまり死を意識していなかったことを表しています。
私が意識していなかったので、彼(死)のほうからやってきたということになります。
そして馬車に乗ることで、死への道のりが始まったことを表しています。
私たちはゆっくりと進みました
彼は急ぐことを知りません
私は彼の親切さに
仕事だけでなく余暇さえも
捨ててしまいました。
彼(死)はとても紳士的であり、仕事や余暇などの「生」らしさを徐々に無くしていきます。
生きるうえで必要な忙しさや悩みが徐々に消えていくのを表しています。
私たちは学校で子供たちが
昼休みに輪になって遊んでいる横を通り過ぎ
小麦畑も通り過ぎ
夕日をも通り過ぎました。
人生のステージを表すスタンザです。
学校や子供たちは幼少期
小麦畑は成人
夕日は死を表しています。
むしろ、追い越されたのは私たち
露が下りてきて肌寒さに震え
薄手のガウン
チュールのティペット
ここから情景が変わります。
夕日に追い越されたことで亡くなったことを意味しています。
薄着で肌寒さに凍えることで、まだ死ぬ準備は出来ていなかったことを表しています。
私たちは家と思われるところで止まった
地面の盛り上がり
屋根はほとんど見えない
壁の淵はほとんど埋まっていた
家に見える地面の盛り上がりは、墓地の情景です。
屋根は死んでいるがまだ天国に入っていないことを表しています。
あれから何百年もが過ぎたが
あの日より短く感じる
私が永遠に向けて初めて
馬で駆けだしたあの日より
これより前はすべて一日で起きましたが、ここから先は長い月日が流れます。
死んでからの日々が、死ぬ一日より短く感じるということで、死により訪れた静寂と落ち着きを表現しています。
まとめ
英語の詩は、言葉遣いや、内容の意味と同じくらい、音読した時のリズムや韻を重要と考えます。
「意味は分からないが、詠むとリズムが好き」
なんていうのも全然アリなのです。
こういった視点で一度英語の詩を見てみるのも面白いかもしれません。
英語圏で特に有名な詩はこちらの記事でまとめていますので是非ご覧ください。